パークマネジメントのヒント2017年9月21日

📖今日のニュース ■[大声禁止」の公園に小学生が切実な訴え…「子どもが公園で騒ぐ権利」はあるのか? ■代々木公園で防災イベント 蝶野正洋さんによるAED講座、プロレスも ■池袋西口公園再開発、2ステージと大型ビジョン備えた屋外劇場公園に ■路上パーキングが小公園に。アメリカで「パークレット」の試み ■公園・緑地にも防犯カメラ 県が補助対象拡大






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刈谷ハイウェイオアシスに学ぶ

環境緑化新聞9月15日号 連載第12回 小口健蔵のパークマネジメントのヒント
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日本のテーマパークの入園者数は、1位はディズニーリゾート、2位はUSJだが、3位はどこか?正解は、刈谷ハイウェイオアシスだという。観覧車やミニ遊園地があるこの場所が、年間1,000万人超を集めている。

そのハイウェイオアシスを見学する機会があった。そして、そのユニークさに大変驚いた。まず感心したのは、岩が池公園という都市公園の中にあったことだ。三重・愛知・静岡をつなぐ高速道路・伊勢湾岸自動車道の計画が持ち上がり市内にパーキングエリア(PA)を作ることになったことから、PA候補地を含めて新たに公園の計画決定をしたという。

高速道路のPAといったら普通は高速道を走る車の利用者が休憩する所である。刈谷市は、それでは市民にあまり恩恵がないということで、一般道路からも利用できるよう公園を計画し、その中にPAを設置したのだ。全国にハイウェイオアシスは二十数か所すでにあり、高速道路と公園を結合させてレジャー需要の受け皿や地域振興を担っている。刈谷は、その先駆け的成功事例というわけだ。

中身にも感心した。フードコートは、絨毯敷きで、地元が拠点の家具・インテリアメーカーのカリモクの特注家具を使うなどシックな設えであった。遊園地や健康遊具、幼児用遊具、フィールドアスレチック、花壇などの公園施設があり、高速利用者や市民が楽しめるようになっていた。

さらに、驚いたのは、天然温泉施設や地域の産物を格安で販売する本格的産直市場も公園施設として導入していたことである。13年前にこうしたことに取り組んだ柔軟性に脱帽である。相当の知恵者がいたのではないかと推察される。今日のPark-PFIを先取りしていたといえよう。

収益施設は、刈谷市商工会議所のメンバーである市内業者19社が出資した刈谷ハイウェイオアシス株式会社が経営している。そして、公園全体の指定管理もこの会社が受けているという。

開設時から支配人だった澤田忍氏に話を聞いた。前職はカリモクの営業職で、商業施設の経営や公園の指定管理の経験はなく、五里霧中で来たという。指定管理で利益を上げることは考えていないで、ハイウェイオアシスにいかに人が来てくれるか、飽きられないようにリニューアルや改善を重ね、イベントを工夫し、その結果、集客を稼ぎお金を落としてもらうことで利益を確保しているという。

 どうして経営がうまくいっているのか聞くと『どんな事業でも同じだと思うが、その事業を発展させにはお客様をいかに喜ばせるかを常に考えることではないか』という。

 パブリックマインドと営業マインドをもって、自分の経営現場でお客様から教えてもらうことで努力を怠らなかったら素晴らしい経営ができるということなのだろう。

小口健蔵が行く。パークマネジメントの最前線!『フローラルガーデンよさみ』がかなえていること

ランドスケープデザインNo.115 August 2017 掲載
連載 小口健蔵が行く。パークマネジメントの最前線! 
第1回 『フローラルガーデンよさみ』がかなえていること

取材・文=小口健蔵  写真=加藤雪邦、小口健蔵  資料=近藤かおり

1.連載をはじめるにあたって
 世の中が大きく変わろうとしています。そう、公園の世界がです。17年前、東京都の造園職として勤務していた時から『公園経営』、つまり今日いわれる『パークマネジメント』が必要なことを唱えてきました。昨年5月に国土交通省が発表した『新たなステージに向けた緑とオープンスペース政策の展開について(新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会最終とりまとめ)』は、そうした取り組みが必要なことを伝えています。そして、この4月に都市緑地法等の法律の改正が行われました。

この連載では、こうした新しい時代にあって全国10万か所の公園がその持てる力を大いに発揮し、市民のための公園づくりがさらに進むことを応援しようと、日本のそして海外も含めた公園におけるベストプラクティスを紹介し、読者の参考にしていただこうという企画です。

 さて、連載第一回で紹介するのは、愛知県刈谷市にある『フローラルガーデンよさみ』です。

 その詳細をレポートする前に、筆者がなぜ、公園経営が重要だと考えたきっかけの話をしましょう。

2.日比谷公園100年記念事業で考えたこと
 2003年のことです。日比谷公園が100年を迎えました。何とか祝いたいと考えたのですが、財政危機でお金がありません。東京都の公園予算は惨憺たる状況でした。なんとか祝いたい。しかし、予算がない。でも、何を祝うのか。このままでは、ますます公園がボロボロになってしまう。現状を打開したい。未来の公園を考えようと公園の使い方に着目しました。

 それは何か。使いたいのに使わしてくれないなど、公園を静的な利用にとどめている現実がありました。そこで、財界人も入れた100年実行委員会を結成し、公園を活用する様々なイベントを民間の知恵と資金で実施することにしたのです。

 その結果、行政では思いもつかない魅力的なイベントが次々に提案され、実行に移され、それはそれは、とてもエキサイティングな経験でした。この経験から、私たちは、新しい公園の価値を発見しました。公園が果たさなければならない役割を深く認識したのです。

ここから、東京都の公園政策は大きく転換しました。公園経営をより進めるためのパークマネジメントマスタープランを作成し、民間からの寄付を集める仕組みもできました。企業などが公園でイベントができるよう規制緩和し、さまざまなステークホルダーと協働して公園管理する方向に転換したのです。2004年のことです。

 この時の経験が基礎になり、私自身は、今は、全国から呼ばれてパークマネジメントのアドバイスをしています。

3.社会の課題解決に公園は力を発揮できる場所。それも公園らしさを生かすことを考えたい。
 私は、公園には社会の課題を解決する力があると考えています。公園が発明されたのは産業革命期のイギリスです。それはその当時の社会の課題を解決するためでした。それが世界に広まり、日本も明治維新後に導入したわけです。

 公園には、レクリエーション、都市の骨格の形成、景観づくり、環境保全、コミュニティ形成の場、防災などの役割があり重要だということで日本全国各地に整備されてきました。いま全国には10万か所、12万fの都市公園があります。

 しかし、これらの公園が今の時代に本当に使われているのか、社会のために役立っているのかなど疑問に思えることが、数々あります。今日、日本の社会には様々な社会の課題があります。

 こうしたことを、解決しなくては世の中はよくなりません。それも、公園らしい特性を生かして出来ることはたくさんあるような気がしています。例えば、公園に花があり、多くの人がそれを楽しむ中で、社会の課題も解決出来たら何と素晴らしいことではないでしょうか。

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フローラルガーデンよさみの質の高いイングリッシュガーデン

4.フローラルガーデンよさみで驚いたこと
 よさみについては、去年の9月に行くまで知りませんでした。訪ねてびっくりです。

 何に驚いたかというと、
@フローラルプラザという建物があり、そこを様々な形で生かしていること
Aイングリッシュガーデンの質が高いこと
B年間2万ポットもの草花の苗をボランティアと一緒に種から育てていること
C作っている苗の種類がプロ級だったこと
Dもともと整備されていたイングリッシュガーデンや園地、建物をリニューアルして価値を増していること
E公園を飛び出して地域の花壇づくりも指導していることなどです。

 あまりに驚いたので、どうしてこんなことが出来ているのかを深く知りたいと思い、翌月に再訪しました。その時には、ガーデンボランティア『よさみジャルダンクラブ』の方々とも会え、生き生きと活動している姿を見て、またまた驚きました。ま、何と楽しそうにガーデンの草取りをしたり、おしゃべりをしていることかと。

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フローラルプラザで毎月開催されるガーデンマルシェの様子

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ガーデンボランティア「よさみジャルダンクラブ」の方々と

5.フローラルガーデンよさみで実現できていること
 私が考えていたことがここ、フローラルガーデンよさみで実現できていることに気が付きました。日本にもこうした公園があるんだとびっくりしました。

 では、どうしてこうした公園が出来たのでしょうか。

 まず、刈谷市役所の取り組みです。米軍から返還されたこの地に公園を計画し、市民が花と緑に親しむ公園として10年前に整備しました。そして、民間の知恵を活用しようと指定管理者制度を生かして、仕様書で「市民が花と緑に親しむ公園としてよさみらしさを発揮してください」と注文をつけました。そして応募者を吟味したのです。

 指定管理者に応募したコニックスはどうでしょうか。刈谷市の注文に答えようと、事業企画書を練り上げました。

 公園の管理運営というのは、@植物管理 A施設管理 B清掃 C利用サービス D巡視・警備 E広報宣伝 F行催事 G市民協働 H地域連携など多岐にわたります。

 植物管理で花と緑に関して様々な提案をします。具体的には、種から育てる庭づくりを導入して、専任のガーデンスタッフとボランティアにより苗づくりをしながら景観をつくり、人の集まる公園にしようというのです。

 そして、ただ言葉で提案するだけでなく、実際に現場で実行できるスタッフがいて、指定管理の実績もあり、ここでも力を発揮できますよと証拠を提示して審査員の評価を集めます。

 物事をよくするためには競争がないといけません。フローラルガーデンよさみが目指すべきところをどう実現させるかが事業計画書の中に込められていなければならないのです。

 さて、素晴らしい事業計画書ができても、まだそれば絵に描いた餅です。それを現実のものにしなくてはなりません。

 現場に常駐するスタッフと現場をサポートする本社との連携で、初めて取り組む仕事で様々な戸惑いや困難もあったでしょうが、うまく乗り越え、このような公園管理運営ができているのだと思います。

 なぜ、上手な仕事ができているか。いろいろ観察したり、インタビューしてみました。そこでわかったことを幾つか上げてみましょう。

 ひとつは、ベンチマーキングがうまくされているということです。ベンチマーキングというのは優良な事例についてよく学びその手法を目標にして、自分達なりに工夫して、現場で実現させることをいいます。東京都が今から14年前に始めた「思い出ベンチ」という名称の寄付ベンチは、ニューヨークのセントラルパークでやっていた寄付ベンチの手法をまねさせていただきました。これがベンチマーキングです。

 ここ、よさみでは、ガーデンの管理手法をイギリスの庭園管理をベンチマーキングして、よさみに定着させています。イギリスのガーデンでは、ヘッドガーデナーを中心に専属のガーデンスタッフが管理しています。それをよさみに応用しているのです。ボランティアの導入もイギリスのナショナル・トラストのやり方を、その精神まで含めて取り入れています。

 こうしたことは、そう簡単にできることではありません。当然現地を訪ね、深く調べなければわからないことです。そういうスタッフがいるということです。

 また、ボランティアの活躍が大きいです。「市民が花と緑に親しむ公園」にするには、刈谷市から貰う指定管理料は限られています。工夫が必要です。また、指定管理者のスタッフだけでできることではありません。ボランティアが、スタッフの熱い気持ちに答えて働いているので、この公園が出来上がったのです。
そんな公園は世の中にはそう多くはありません。

 二つ目は、仕事の裁量がいい形で現場にゆだねられていることです。本社からあれをしろ、これをしろという指示が出てやるのではなく、本社が現場を信頼し、現場が考えたことを支援しているのです。信頼されるから、任されるから、担当者は責任を持ち仕事を全うできるのでしょう。これは、本社と現場との関係だけではありません。事務所のボードを見ればわかるのですが、例えばスタッフやボランティアがする作業についても、信頼と自立が基調にあり、本日の作業項目が書いてあるだけで、それを見て自ら考え、自ら行動する仕事の流れができているのです。

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6.チーフガーデナーを中心にガーデンスタッフが公園を管理する仕組みはどうしてできたのか?
 チーフガーデナーの近藤かおりさんに聞きました。愛知県西尾市の園芸農家に生まれ、恵泉女学園短大園芸生活科で学び、もともと種まきが好きで、カタログで海外の種を取り寄せ、子育てをしながら自宅で種から育てる庭づくりをしていました。そして、植栽を中心とする個人庭専門の会社を創業します。イギリスにガーデンの勉強に行き、そのレベルの高さや、植物の種類の多さ、流通の充実を知り、日本ではあまり流通していない春咲き一年草を種から育て、庭好きを増やす活動を始めます。2010年から国際バラとガーデニングショーのガーデンコンテストに仲間とともに出展し、2011年には優秀賞を受賞します。この受賞の新聞記事がきっかけとなりフローラルガーデンよさみの指定管理者応募のための事業企画書づくりに参画することになったのです。

 近藤さんは面白いことをいいます。公園管理運営の企画づくりは、ガーデン設計そのものだというのです。「@施主の要望 A環境と材料の確認 B必要なものを美しく配置 という流れが同じなのです。市役所の要望は、花の溢れる公園をつくること、市民協働や交流の場をつくること、他にはない運営アイデアを提示することです。これに対して、園内の状況や協力してくれるステークホルダーの存在などを確認し、無理なく自然な感じで様々なことがらを配置し、ふさわしいイベントを組み込み、その場所が心地よくまた楽しく感じ、いつまでも眺めていたい景色をつくること」と。

 そして「よさみの仕事に出会ったときには、ライフワークとして植物を種から育てられる人やガーデナーを日本で増やすにはどうしたらいいかと思案していました。また、イギリスのように日本でもガーデナーの仕事を確立させることを何とかしたいとも考えていました。よさみの企画を立てていく中で、この公園で仕事としてガーデナーの育成ができること、市民サービスとして園芸情報を発信できることなど、自分が求めていた理想の環境が公園の中につくることが出来るということに気がついたのです」と話します。これが、常駐のガーデンスタッフがいて、花苗を種から育てるボランティアがいる公園が実現した要因です。

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7.フローラルガーデンよさみが、かなえていること
○園芸ボランティアの育成
 よさみジャルダンクラブの「ジャルダン」はフランス語で庭のことです。ネーミングもエッジが効いてしゃれています。種まきからポット上げ、植栽、花壇管理が仕事です。毎週1回20人以上が集まります。当番制でやっているわけではありません。都合が悪ければ連絡なしで休んでもいいのです。義務感に駆られることなく、作業を通じて植物の知識を得るだけでなく情報交換や人とのつながりを作ることが楽しいことが、年々参加者が増えている秘訣なのでしょう。年間2万ポットの一年草を種から作ることが出来、ローコストで園内に花壇を広げる原動力となっています。

 ボランティアだけでなく一般市民も花植え活動「みんなでつくるフローラルガーデン」に参加できます。園内栽培の一年草を植栽してもらうのと同時に花苗をプレゼントし、花の成長を公園内だけでなく自宅でも楽しみ、種から育てる裾野を広げようという趣向です。

○地域の課題解決に貢献する場
 刈谷市は自動車製造業に関わる企業が多い街でもあり、子育て世代が安心して暮らせる環境を用意することも大事です。公園では、こどもたちが自由に外遊びができる活動としてプレーパークを毎月1回開催しています。幼児向けのプレーパーク「小さなお庭」も毎週木曜日に開催し、子育て支援の場としています。

 また認知症の方やその家族が安らげるところとしてフローラルプラザのガーデンが眺められるカフェを「ほっとカフェ」と命名し月2回実施しています。さらに公園のある高須地区の「あいさつと花いっぱい!住みたい街づくり」に協力し、種から育てる花壇づくりの栽培指導もしていますし、障害者の授産施設である「すぎな作業所」に公園で収穫した種を提供し、種まきとポット上げを指導し、作業所の花壇づくりもしています。一部の苗はよさみのユニバーサル花壇にも植栽しています。

○賑わい創出
 「よさみガーデンマルシェ」を第1日曜日に開催しています。無農薬有機野菜やアート作品、手作り菓子などこだわりの商品を扱う店が30店舗以上並びます。出店には書類選考、面談があり、厳選した店のみが出店できる仕組みにして、レベルが高いマルシェとして定着させています。

○障がい者の雇用
 ガーデンスタッフとして障害者を雇用し、本人の描いたイラストを元に花壇を作りなど様々な園内作業をしています。

 こうしたことに取り組んだのは、筆者(小口)の講演『社会の課題解決に貢献する公園づくり』を近藤さんが聞き、次の5年の提案の中に社会の問題解決に意識して取り組む内容を盛り込むことができたからだと言います。

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近藤かおりプロフィール
公園管理運営士。株式会社フィーカ代表。愛知県生まれ。恵泉女学園短大園芸生活科造園専修卒業。1998年「ケイズガーデン」を設立。2010年〜2012年「国際バラとガーデニングショウ」に欧州建材チームの植栽担当として出展。それぞれ奨励賞、優秀賞、大賞(国土交通大臣賞)受賞。2012年よりフローラルガーデンよさみのチーフガーデナーとしてガーデンを中心とした公園管理、イベント企画、運営に携わる。2016年「株式会社フィーカ」設立。公園を中心として植物と暮らしをつなぐ事業の拡大を目指す。

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8.取材を終えて
 花に溢れた公園を実現してほしいという市の要望をかなえただけでなく、よさみの特性、つまりイングリッシュガーデンを生かし、専任のガーデナーが常駐する体制をつくり、種から育てて美しい花を咲かせることで、ボランティアの生きがいを作り出し、訪れる人々を喜ばせ、子育て世代、高齢者、福祉などに関わる様々な地域の課題の解決に貢献する取り組みをたった5年のトライで実現しています。

 この4月末にフローラルガーデンよさみの10周年記念式典が開催され、筆者も第三者としてよさみを評価し、その内容を講演で話してほしいと呼ばれました。

 会場には刈谷市長、市議会議員の方々、地元の有力者・協力者、商工業者、ボランティアの皆さんなど公園に関わる方が集まりました。参加者は、公園を客観的に見てどう評価されるのか真剣に耳を傾けてくれました。私から、どうぞ、この公園は刈谷市の自慢の場所だと自信をもって全国に喧伝してください。そしてさらに皆さんで力を合わせて公園を磨いてくださいと話させていただきました。

 観光協会の会長さんが、指定管理者の選定委員長もされたといいます。公園の来園者も格段に増え、隣接地を新たに買い駐車場を拡張するという計画だという話を市長が挨拶で表明してくれました。

 ステークホルダーを味方につけ、協力してもらうことパークマネジメントの醍醐味でもあります。

 是非、読者のみなさん『フローラルガーデンよさみ』を訪ねてみてください。「よさみジャルダンクラブ」の活動日、毎週金曜日午前中がお奨めです。

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■フローラルガーデンよさみ
・依佐美送信所跡地利用の刈谷市立公園
・面積34,300u
・依佐美送信所記念館のほか、公園管理事務所や集会所機能をもつ建物フローラルプラザ内にカフェ、その周りにイングリッシュガーデンや親水施設があり世代を問わず利用されている。
・遊具やせせらぎ、多目的広場があり、休日にはミニSL(有料)も運行し、親子連れに人気
・2007年にオープン。2012年に指定管理者がコニックス鰍ノ変わりリニューアルオープンした。

小口健蔵プロフィール
公園プロデューサー。小口健蔵オフィス代表。長野県生まれ。千葉大学造園学科卒業。東京都職員として、街づくりや公園緑地の計画・設計・整備・維持管理・運営管理など30数年間にわたり従事。建設局公園緑地部長を最後に退職。公益財団法人東京動物園協会常務理事、一般財団法人公園財団常務理事・公園管理運営研究所長、World Urban Parks Inc.初代理事を歴任。「思い出ベンチ」の発案者。日比谷公園100年記念事業でプロデューサーを務め、パークマネジメントの重要性を世に知らしめた。「パークマネジメントのヒント−小口健蔵の実践的公園経営論ブログ−」で情報発信を続けている。









ランドスケープデザイン誌連載『小口健蔵が行く。パークマネジメントの最前線!』 第2回は「東京・港区の小公園も含めた包括的な指定管理者導入がめざすもの」です。



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2017年8月23日発売の『ランドスケープデザイン』誌 NO.116の『小口健蔵が行く。パークマネジメントの最前線!』第2回は「東京・港区の小公園も含めた包括的な指定管理者導入がめざすもの」です。

東京の23区の一つ港区の取り組み、大変先進的です。
さわりを紹介します。

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連載 小口健蔵が行く。 パークマネジメントの最前線!
 
第2回 東京・港区の小公園群も含めた包括的な指定管理者導入がめざすもの
取材・文=小口健蔵 写真・資料=東京都港区

■公園管理運営はPPP(公民連携)の導入が鍵になる
平成18年に都市公園への指定管理者制度が本格的に始まりました。その結果、いまでは全国10万か所の都市公園のうち1.2万か所が指定管理対象になりました。全体の12%です。面積割合だと43%を占めます。都道府県や大都市での大規模公園やスポーツ公園、有料施設のある公園を中心に指定管理者制度が導入されています。

力のある企業が着々とシェアを伸ばしたり、知恵のあるNPOなどが上手な管理運営の実績を上げてきています。また、大阪市では大阪城公園などで設置・管理許可と指定管理を組み合わせて事業期間を20年とする思い切った施策も始まっています。そして、これまで考えられなかった異業種が参入し実績を上げつつあります。

少子高齢化・人口減少により自治体の財政がますます立ち行かなくなり職員確保もままならない時代にあり、公園には今以上に指定管理を含むPPP(公民連携)の導入が求められます。

■指定管理者制度の胆は何か
私が考えるに指定管理者導入の最大の効用は、効率的・効果的な公園経営に資するということです。標準的には5年に一度、競争にさらされることによる切磋琢磨が公園管理にもたらされます。

直営管理の時代には、公園管理運営の現場には競争はほとんどありませんでした。あるとすれば、植栽や清掃、施設補修の民間への発注で企業間での価格競争です。しかし、マネジメントに関しての競争は存在していませんでした。こうなると、直営で運営する都市公園と指定管理の公園では、競争原理が発揮されるか、されないかで、異なる状況が生まれます。

端的な例としては、民間事業者が柔軟な発想で広報やイベント企画などに取り組むことが増えてきたことがあります。例えば公園のホームページは、広報や集客にいまや欠かせないツールとなっています。これはと思う公園のホームページをインターネットで検索すると、様々な工夫をしたページが出てきます。それらを比較して見ることで事業者の熱意や力量を知ることもできます。

こうして指定管理者制度を導入した公園は、競争の結果が反映されて、だんだん良いものになってきますが、直営公園はどうでしょうか。検索してみると分かりますが直営で管理している公園にはちゃんとしたホームページがないところが多いのです。あっても自治体のホームページにコーナーがある程度で、更新頻度は少なく、情報量や魅力に欠け、公園に出かけようという気を起こさせるものになっていません。指定管理者制度導入10年ほどで大きな差がついたといえます。これは由々しきことではないでしょうか。

先に見たように、比較的大規模な公園に指定管理者制度は導入されていますが、まだ小さい公園は、指定管理者制度の対象にはなっていません。ところが、このところ小さい公園の活性化が地域の活性化の鍵だとの問題意識をもち、取り組む自治体が出てきました。

その一つが、東京・港区です。訪ねたのは港区シルバー人材センターの常務理事の佐野和典さんです。佐野さんは造園職として区役所に長年勤務し、公園緑地のほか交通ネットワークの整備や市街地再開発などの街づくりなどで官民連携事業推進を担ってきました。小公園群を含む指定管理者制度導入に関しても主導的役割を果たしました。早速インタビューしてみましょう。

■港区の公園
小口:まず、港区の公園について教えてください。

佐野:港区には、街の骨格をつくる大規模な公園と区が中心になって整備してきた小規模な公園があります。大規模な公園は、江戸時代から残された寺社地や大名屋敷由来などの、芝公園、有栖川宮記念公園、青山公園、芝離宮恩賜庭園、国立自然教育園があるほか、水再生センターの上部を生かした芝浦中央公園、さらにイタリア公園、高輪森の公園、港南緑水公園、お台場レインボー公園があります。

区内の公園は平成26年で区立公園49か所、児童遊園58か所、緑地37か所、遊び場12か所で、10年前に比べると15か所、65,569u増加しています。しかしながら、区が設置する公園は小規模なものが多く、老朽化したものが多いのも事実です。区は多くの公園を昭和20年代や40年代に整備してきましたが、私が役所に入った昭和50年代からは公園の再整備と民間の再開発等による公園整備が進みました。特に、平成10年代なると、官民連携のまちづくりも進み、都市計画芝公園における特許事業、都市計画霊南坂公園における公園街づくり制度の適用など民間活力による公園整備が進みました。

■導入検討は10年前から
小口:今年の4月、港区が公園のにぎわいづくりを目指して区内86か所の公園・児童遊園で指定管理者制度を導入すると発表しました。区内のほとんどの公園と児童遊園が総合支所ごとのエリアでグループ化され発注単位となっています。小公園まで含めて指定管理者制度を導入した事例はあまりありませんが、どうして港区ではこうした取り組みをしたのでしょうか?

佐野:指定管理者の導入は急に始めたものではありません。導入の検討は、私が土木計画担当課長時代、今から10年前になります。

公園への導入の直接のきっかけになったものとしては、公園の維持管理をテーマに行政監査が実施され、監査事務局より「いつも公園がよごれている。」「ゴミが落ちている」「利用者が一人もいない」等の指摘を受けたことにあります。維持管理体制や維持管理費が充分ではなく、適切な公園維持管理ができていませんでした。そこで、区では、公園の利用実態調査を実施し、「港にぎわい公園づくり基本方針」を策定する中で、マネジメントの一つである指定管理者制度の導入を検討しました。民間事業者が指定管理者になることで、公園がいつもきれいに質の高い公園ができると思ったことが、公園に導入するきっかけになっています。

■平成18年に「港にぎわい公園づくり基本方針」を策定
佐野:平成18年に策定した「港にぎわい公園づくり基本方針」において、民間のノウハウを活用した周辺のまちづくりと一体となった管理やイベントによるにぎわいの創出を図る方策の一つとして、指定管理者制度の導入を提案したのが始まりでした。

小口:『港にぎわい公園づくり基本方針』を平成18年度につくられたのですね。内容を見ると今日いわれているパークマネジメントマスタープランにあたるものですね。こうした方針を平成18年度につくったというのは先進的ですね。また、「公園利用実態調査」を定期的にしているのもすばらしいことです。現状調査なくして科学的な公園管理はあり得ません。

■平成28年度に「基本方針」を改訂
佐野:「港にぎわい公園づくり基本方針」は、年齢層に関係なく幅広い人々が利用できる「にぎわいある公園」をめざし、区民との協働を基本とし、これまでにない魅力ある公園づくりを進めるため公園の整備や利用に関する基本的な考え方と中長期的に取り組むべき施策を明らかにしたものです。平成18年当時の指針では、公園の増設、統廃合、指定管理者制度、立体公園制度、プレーパーク、ドッグラン等を提案しましたし、平成28年の基本方針では、平成18年の指針を進化させる形で、公園内の保育園の設置、民間の協力による公園等の確保の施策も提案しています。

この基本方針で目指すものは次の3つです。
@個性ある公園をつくり、つなぐこと
A行って楽しい公園メニューを増やすこと
B協働や民間活力を生かした仕組みづくり

公園でイベントを実施することで、にぎわいをもたらし、公園に対する区民の意識を高めることができると考えました。そして、指定管理者制度を導入し、事業者との連携をはかることで、利用者とともに公園をつくり、育てる協働の場づくり、特に事業者との協働、公園等を共に育てることができると考えました。


この続きは、あと4ページは、購入してのお楽しみです。

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草津川跡地公園整備が、これからの公園整備の見本です。

8月初旬に滋賀県草津市に整備された草津川跡地公園の『de愛ひろば』を見てきました。

この4月にオープンしたばかりの新しい公園です。

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中山道が合流する東海道の宿場として発達した草津の中心に、広重の浮世絵にも描かれた草津川が付け替え工事により廃川となり、その跡地を草津川跡地公園にするという大きな計画の第一弾として実施されたものです。

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広重の浮世絵 草津川 天井川なので普段はあまり水が流れず、歩いて川を渡れたのです。

公園の新規整備段階からカフェやレストラン、スポーツジムを公園施設として設置許可で整備するという最近の公園整備ではまだまだやられていない手法を実施したというので、どのようにしたのか知りたくて訪問しました。

斬新な設計の建物が三棟迎えてくれます。レストラン、カフェ、ヨガスタジオそれぞれが別棟になっています。設置許可は草津市と草津街づくり株式会社が協定を結び、草津商工会議所が中心になって設立した街づくり株式会社がリーシングとテナントミックスをしたそうです。

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ランドスケープデザインがよく考えられていて、大人の鑑賞にも耐えるシックな設えがそこここにあります。

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また、トイレも使いやすさや安全面も考慮された設計になっており、これからの公園トイレは、このくらい綺麗にしなければ客は来ないのだということを実感しました。

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旧草津川は上流から流れ込む土砂で河床が上がり、その対応として土手をかさ上げしたため江戸時代から天井川として有名だったそうで、いまでも公園は土手に囲まれ市街地のほうが土地が低い関係になります。

ですので、土手に上がると草津市街が一望できます。

廃川して長らく放置されており、渋滞解消のため車道にするという意見も多くあったそうですが、琵琶湖まで続く緑地として公園化しようという声が勝り、今に至っていると聞きました。

『de愛広場』は、草津市の中心市街地活性化事業の一つとしても計画されたもので、郊外のショッピングモールなどでさびれるばかりの草津駅を中心とする市街地に人を呼び寄せるために、公園内に賑わいの場所として商業施設を設置したといいます。

広場では、様々なイベントも予定されており、公園が街の活性化に役立つ施設として生かされることになります。


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いい発注者と残念な発注者、いい事業者と残念な事業者

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いこいの森と周辺の市立公園 HPより

連載第11回 小口健蔵のパークマネジメントのヒント 環境緑化新聞2017年8月15日号

いい発注者と残念な発注者、いい事業者と残念な事業者

今年も都市公園の指定管理者の公募が各地で始まっている。この号が発行される頃は、応募のための事業企画書のとりまとめの最盛期だろう。筆者も企画書づくりをアドバイスするとホームページで告知していることから、慌ただしく時間を過ごしている。

事業企画書づくりには大変なエネルギーがいる。切磋琢磨が公園をよくすると考えれば当然のことではあるが、応募者の立場になると努力が必ずしも報われないかもしれないリスクとの闘いでもある。

ことに審査基準が明確ではなく、なぜこのような採点になったのか説明が十分でなかったり、公正・公平が担保されているのだろうかと疑念をもつ事例などに遭遇するとうんざりする。

是非、公明正大な事業者選定をしてもらいたいものだ。

私は、指定管理の発注者と受注者にはそれぞれ二つの区分があると考えている。それは、いい発注者と残念な発注者、そしていい事業者と残念な事業者である。

いい発注者というのは、公園の活性化のためにどのようにすれば民間事業者の力を引き出すことができるか絶えず研究を怠らず、その条件を整えることはもちろん事業者と一緒になって公園をよくしようと行動する公園管理者のことだ。

残念な発注者は、自分たちが直営で管理運営していた時は、にぎわい創出の取組みなどほとんど出来ていなかったのに、民間の事業者には、にぎわい創出のための特別の予算措置もせずに、指定管理費支払い対象ではない自主事業での企画を立てることを求めたり、指定管理事業をコストの切り詰めの道具だと考えていて、指定替えごとに経費削減を求めるばかりで、公園の活性化をどのようにすべきかなどにあまり関心を持たない公園管理者のことである。

いい事業者は、パブリックマインドを持ち、大いに創意工夫し、公園で稼ぐことにも貪欲で、その収益を公園運営に生かし効率的効果的な維持運営管理ができる事業者である。残念な事業者は、従来型の維持管理の延長でしか指定管理事業を考えていない事業者である。

いい発注者といい事業者が組み合わさって一緒に仕事をすれば、素晴らしい公園管理運営ができる。

先日、取材した東京・西東京市では2年前から市内の三分の一のエリアの公園や児童遊園50か所を一グループとして指定管理に出している。狙いはあまり活用されていない小さな公園も含めて公園の活性化を市民協働で進めていこうという考えからである。

工夫の一つとして、指定管理者には市民協働に長けている副所長を置くことを求めるとともに、公園担当課にも市民協働担当主査を配置して、指定管理者が仕事をしやすいように役所内の手続きを整えたり、公園管理者として積極的に協力企業をリクルートしたりで活性化の実を上げている。

これからの都市間競争は、こうした点が問われるのではないだろうか。


子どもと公園と遊びの変遷展 を見て来ました。

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日比谷家の4世代から見た
子どもと公園と遊びの変遷展−こども達に魅力的な公園を−
が、東京・日比谷公園の緑と水の市民カレッジ3Fで開催しています。

かつて震災や戦災で荒廃した町の中では遊び場所がなく、子どもたちは行き場をなくしました。そんな時代に子どもの遊び場を真剣に考え、作り出してきた大人たちの思いがありました。大人たちがどのようにして子どもの遊び場を誕生させてきたのか、遊び場の変遷をたどります。本展示では昭和初期に公園で行われていた児童指導の写真や、大正、昭和初期から現代にわたる4世代の遊び場マップをご紹介します。曾祖父母から今の子どもたちまでの遊び・公園の変遷をたどりながら、この先公園に子どもの声を絶やさないためにはどのような仕掛けが必要か、過去に学び、これからのニーズを捉える展示を行います。

平成29年度8月1日(火)〜10月31日(火)
入場無料


前に、このブログで 『公園に保育園をつくることは悪手か?』

http://park-management.seesaa.net/article/447059486.html

のなかでも紹介した、東京市が日比谷公園に児童遊園を設置し児童指導員を置き、通称日比谷幼稚園といわれていて幼児教育における外遊びの理念を築いた歴史についても詳細に展示しています。

大変、面白い企画です。

展示の最初にある東京都公園協会の佐野理事長のあいさつ文、素晴らしいことが書かれています。

展示の監修は千葉大学の木下勇教授とその教え子の大学院生寺田光成さんがかかわったそうです。
偶然にも昨日、木下先生と市民カレッジでお会いできました。公園に保育園が占用できる時代になったからにはランドスケープアーキテクトが保育園の計画設計をして、素晴らしい子育て空間としての公園及び保育園を
作るべきだと意見が一致しました。

そんな提起をするシンポジウムやりたいねと話をしたところです。

千葉大大学院での私の授業を受講してくれた寺田さんがこの展示に関わっていることも大変うれしい話です。
まだまだ、展示期間があるので、より子どもたちにもわかりやすい展示にバージョンアップすること考えているとの話でした。

市民カレッジの事務局に、この展示のカタログは作成しないのか聞いたところ、8月末を目途に現在制作中だそうです。

それも楽しみです。

緑と水の市民カレッジのHP↓
https://www.tokyo-park.or.jp/college/green/

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フランス・リヨン市の緑地局長Daniel Boulens 氏(WUP 初代理事)が、ヨーロッパやフランスの最近の公園緑地トピックスを交えながらリヨン市の環境に優しい公園緑地管理手法などをお話す海外情報講演会のお知らせです。



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10月に開催する平成29年度海外情報講演会(主催:World Urban Parksジャパン、(一財)公園財団、(一社)公園管理運営士会)が開催されます。

この講演会では、フランス・リヨン市の緑地局長Daniel Boulens 氏(WUP 初代理事)から、ヨーロッパやフランスの最近の公園緑地トピックスを交えながらリヨン市の環境に優しい公園緑地管理手法などを聞きます。

<国営昭和記念公園会場>
【開催日時】 平成29年10月18日(水)
園内ガイドツアー 13:00〜14:45
講演&大会報告 15:00〜17:00
【開催会場】 国営昭和記念公園(東京都立川市)
【募集人数】 50名
【参加費】 一般2,000 円/主催団体会員無料*

<京都 梅小路公園会場>
【開催日時】 平成29年10月20日(金)
園内ガイドツアー 13:00〜14:00
講演&大会報告 14:15〜17:00
【開催会場】 梅小路公園(京都府京都市)
【プログラム】造園CPD認定プログラム(3.8単位)
【募集人数】 50名
【参加費】 一般2,000 円/主催団体会員無料*

両会場共通
【締切日】 平成29年10月6日(金)
【申込方法】 必要事項をご記入の上、E-mailもしくはFAXにてお申込みください。
【お問合せ、申込み先】(一財)公園財団 公園管理運営研究所
(担当:久富・嶺岸・松本)
 E-MAIL:kenkyubu@prfj.or.jp
TEL03-6674-1188/FAX03-6674-1190

横浜市が公園の活用について、「サウンディング型市場調査」の結果を公表しました。

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■サウンディング調査の概要
横浜市は市内の全ての都市公園を対象に、街の賑わい創出や公園の魅力向上につながる活用方法のアイデアを民間事業者やNPO法人から聞くため、サウンディング調査を3月に実施しました。

この調査は、事業内容、候補地となる公園、その公園に必要な要素、公園や周辺地域の魅力向上や賑わいの創出に対する考え、周辺地域との連携や地元調整への対応、市に支払う想定使用料などについてアイデアを聞くものです。

アイデアには制限を設けず、既存の公園施設の活用、新たな建築物や工作物の設置、施設設置を伴わないプログラムなど、いずれの提案も可能とするほか、複数の公園にまたがる提案や、公園を特定しない提案も可能であり、事業手法や管理運営方式も限定しないなど、いってみれば何でもありで提案を求めていました。

■対話の結果、57団体から80件の提案がありました。

主な提案の概要
〇飲食施設(レストラン・カフェ等)を整備する提案
・観光客向けの本格的なレストラン
・近隣生活者向けに日常使いのできるカフェ
・多機能な飲食施設を提案したもの
・無料休憩施設を併設する
・地域コミュニティ拠点を併設する
・文化芸術系の機能を付加する(ブックカフェ、ギャラリーなど)
・バーベキュー(期間営業、常設とも)
・キッチンカー等移動式店舗でのサービス提供 など
〇運動施設を整備する提案
・ランニングやウォーキングの拠点施設(ランステーション等)
・フットサルコートやバスケットコートなどを新たに整備する提案
・既存施設(テニスコートなど)の設備水準を向上させる提案 など
〇宿泊施設を整備する提案
・主に観光客を対象とした宿泊施設を整備する提案
・小規模な簡易宿泊施設を整備し、宿泊体験型サービスを提供する提案
・グランピング施設やキャンプ場を整備する提案 など
〇その他施設を整備する提案
・ペット向けサービス施設やドッグランの整備
・農業体験施設を整備する提案
・公園内樹林地を活用した遊戯施設を整備する提案
・こどもの遊びを通じた学習を行う施設の整備
・既存バーベキュー施設を活用したアウトドア体験の提供 など
〇イベントやプログラムを主体とする提案
・横浜産農産物や地元商店の商品等をあつかうマルシェの開催
・子育て世代の交流や地域コミュニティ形成等を目的としたイベント
(野外映画鑑賞会など)の開催
・自然観察やアウトドア体験などのプログラム など
〇これらの施設・プログラムを組み合わせた提案
・カフェ、ランステーション、コミュニティ施設を複合化した施設 など
〇活用を進めるための制度等に関する提案・意見
・施設整備は、許可期間が20年程度あると投資を回収できてよい
・許可期間20年は長すぎるので、10年で更新可能な制度がよい
・企業の広告の掲出についても柔軟に対応してほしい
・活用を進めるためには、事業者と行政の間に立って調整を行う支援者が重要 など

■今後の進め方
横浜市では、公園の魅力向上や地域への貢献、管理費の低減などの観点から提案内容を検討するとともに、公園の立地や利用状況などから具体化が可能と考えられる提案について、外部有識者の意見等も踏まえながら順次事業化を進めるといいます。

事業者の選定については、原則として事業者の選定は公募で実施するが、公園愛護会などが行うイベントやプログラムについては、個別に調整を進めるといいます。

この調査、調査期間は当初平成29年2月20日〜3月3日としていましたが、応募多数のため、3月24日までヒアリング期間を延長して実施したとのことです。公表された結果を見ると、いろいろな提案があったようです。提案が実現されて公園の活性化が図られるのはとても楽しみです。

横浜市の公表ページ↓
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/park/koubo/sounding/result.html




ニューヨークをベンチマーキングしてみたら

連載第10回 小口健蔵のパークマネジメントのヒント 2017年7月15日号 環境緑化新聞

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プロスペクトパークでの今年の演奏シーン:ニューヨークフィル HPより

ニューヨークをベンチマーキングしてみたら

ニューヨークの夏は、ニューヨークフィルのセントラルパークなどでの演奏会から始まる。今年は6月13日から16日まで開催されたという。夕暮れの公園に沢山の人が集い、暮れなずむ中で心地よい風に吹かれながらオーケストラを聞くなんて、何ともうらやましい。大人の公園文化がそこにはある。日本でこんなシーンが見られるのはいつになるのだろうか。

都の公園緑地部長として仕事をしていた時、自分のライバルは都庁内ではなくニューヨークやパリの公園部長だと本気で考えていた。一人当たり公園面積ではとても叶うことはない。しかし、公園を世の中のために活用することに関して、世界のライバル都市はどう考えているのか気になった。

2002年、日比谷公園が翌年100周年を迎えるというタイミングで、夏休みにセントラルパークを訪問した。セントラルパーク管理財団のダグラス・ブロンスキー氏から話を聞いて仰天したのは、運営管理費の85%が民間資金で賄われていることだ。70年代、財政逼迫から公園は、荒れに荒れていた。見かねた市民が立ち上がり、寄付を集めたり、維持管理にコミットメントしたり、今でいうPPPによる公園管理を実現させ、見事にセントラルパークをよみがえらせたという。

「こんな景色がニューヨークの公園では実現しているが、どうして東京では出来ないのか」と当時、石原知事の周辺からよく聞かれた。なぜ実現できないかを突き詰めると都市公園法など法令が隘路ではなく、法令解釈が壁だった。

一つの例が『思い出ベンチ』だ。今では笑い話だが、ベンチに貼り付ける寄付者の氏名やメッセージを書いたプレートが屋外広告物条例で厳格に解釈するとアウトだという。この厳格に解釈するというのが曲者なのだ。条例所管局とすったもんだの協議を経て、プレート設置を実現させた。

役所の常識は、世間の非常識だということを強烈に実感した。公園の先進国で認められていることが、なぜ東京で認められないのか。法令の解釈がおかしくはないかという目で見ることの大事さを痛感した。

ベンチマーキング(優秀事例を参考にすること)をこの時ほど大事だと考えたことはなかった。「こんなシーンが海外では実現しているが、日本ではどうしてできないのか?どうしたら実現できるのか?」を考えることは、ベンチマーキングなのだ。

広く世の中で実現していること、資金調達、民間の知恵を活用する方法、異分野との連携、ステークホルダーの動員など、様々なことに学ぶべきことがある。

公園を使い倒せという今日、さあ、あなたなら何をベンチマーキングし、行動に移しますか?

(公園プロデューサー 小口健蔵オフィス代表)

ニューヨークのプロスペクトパークの車道が車両進入禁止を拡大しました。カーフリー(車両進入禁止)政策をさらに進めます。 



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プロスペクトパーク グーグルマップより

ニューヨークのブルックリン区のプロスペクトパークで2017年7月17日朝、イーストドライブ(パークサークル〜グランド・アーミー・プラザ)が歩行者用に解放されました。レイバーデー明けの9月11日までの措置。これにより同公園全域がカーフリー(車両通行禁止)となりました。このイーストドライブは、平日の朝のラッシュ時のみ車の通行がこれまで可能でした。

ニューヨーク市は2015年、同公園西を縦走するウエストドライブでの車両通行を廃止していたのですが、地元住民からはさらなる車両通行禁止エリアの拡張の希望が出ていました。

公園でのカーフリー政策は、ビル・デ・ブラシオ現市長が2015年にセントラルパークとプロスペクトパークというニューヨークの2大公園で始めたもので、歩行者、ランナー、サイクリストのより安全な公園の利用を目指して車両進入禁止措置をとりました。市長は、車両進入禁止が開始されれば、セントラルパークとプロスペクトパークでは1899年以来園内を通行する車両の数がもっとも少なくなるとしていました。

市長は市議会議員に就任した当初から、10年以上にわたり公園への車両の進入禁止に取り組んできたのだそうです。この問題に取り組む市議会議員もほかにいて、擁護団体も長年にわたり、この問題を訴えていたといいます。

この政策の胆は、公園内を東西に横断する車道を通行禁止にすることで事故を防げるだけでなく、車より健康的なジョギングやサイクリングの啓蒙を図れることだと言います。

2年間カーフリーを両公園で実施した実績を踏まえ、期間限定で、さらにこの政策を拡大しているんですね。

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プロスペクトパークの場所 グーグルマップより

この記事で参考にしたほかのニュースは、次の通りです。



日本でもカーフリーデーの取り組みが実施されています。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/carfreeday/carfreedayindex.html



公園スタバ その魅力2

当ブログで『公園スタバ その魅力』の題で、投稿したのは、2015年12月でした。
http://park-management.seesaa.net/article/431633472.html?1499596636

その時は、藤枝の蓮花寺池公園のスタバが丁度オープンした時で、公園スタバは5カ所目だと筆者は認識していました。ところがそれが間違っていたことがわかりました。

6月29日に千葉市であった「公園PPP/PFI公民連携セミナー」(主催潟Iリエンタルコンサルタンツ)でスターバックス コーヒー ジャパン鰍フ店舗開発部長の田崎弘之氏の講演を聞きました。

そうしたら、2017年6月現在、公園内店舗は9か所あるとのことです。

富山環水公園店    富山市   2008年9月開店
福岡大濠公園店    福岡市   2010年4月開店
上野恩賜公園店    台東区   2012年4月開店
二子玉川公園店    世田谷区  2013年4月開店
弘前公園前店     弘前市   2015年4月開店
藤枝蓮花寺池公園店  藤枝市   2015年12月開店
神戸メリケンパーク店 神戸市   2017年4月開店
名城公園店      名古屋市  2017年4月開店    
大阪城公園店     大阪市   2017年6月開店

藤枝の公園スタバは6番目だったんですね。

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弘前公園前店 スターバックスコーヒージャパン鰍gPより

弘前公園前店が開店したニュースは知っていたんですが、公園内とは思いませんでした。田崎さんに聞いたところ、弘前市が所有する国登録有形文化財で1917年に陸軍師団長の官舎として建設され1951年に弘前市に払い下げられ市長公舎として使われていた木造の建物を活用したのだそうです。

文化財である旧第八師団長官舎の魅力を活かすよう、市が建物の有効活用の公募を行ったところ、スターバックスのカフェ利用という案が採用されたというわけです。


田崎さんの講演は、セミナーでの一番人気でした。参加した自治体公園関係者にとって、公園活性化のためにカフェを誘致したいのだが、どうすれば出店してもらえるのかに興味津々のようでした。

スターバックスはなぜ公園に出店するかというと、

田崎さんの話では、スターバックスはコーヒーを売るのが目的ではなく、スターバックスでの体験、感動体験を提供するのが役割と考えていて、自宅、職場や学校に次ぐ第3の場所(サードプレイス)の提供が重要だといいます。

その点、公園は人々の憩いの場でもあり、地域のサードプレイスの役割を持っていて、スターバックスが目指す理念とつながり、地域コミュニティの活性化に貢献できると考えているというのです。

なかなかの戦略だと思います。

ランドスケープデザイン誌で連載が始まりました。 タイトルは『小口健蔵が行く。パークマネジメントの最前線!』 第1回は「フローラルガーデンよさみ」がかなえていること




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2017年6月23日発売の『ランドスケープデザイン』誌 NO.115 ランドスケープデザイン誌で連載が始まりました。タイトルは『小口健蔵が行く。パークマネジメントの最前線!』第1回は「フローラルガーデンよさみ」がかなえていること です。

6ページの記事、頑張って書きました。

フローラルガーデンよさみの取組み、大変面白いです。

詳しくは

http://www.marumo-p.co.jp/SHOP/LD115.html

この記事を読んで、刈谷市のフローラルガーデンよさみを訪ねてみてください。

編集部の許しを得て、さわりを紹介します。

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1.連載をはじめるにあたって
世の中が大きく変わろうとしています。そう、公園の世界がです。17年前、東京都の造園職として勤務していた時から『公園経営』、つまり今日いわれる『パークマネジメント』が必要なことを唱えてきました。昨年5月に国土交通省が発表した『新たなステージに向けた緑とオープンスペース政策の展開について(新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会最終とりまとめ)』は、そうした取り組みが必要なことを伝えています。そして、この4月に都市緑地法等の法律の改正が行われました。
この連載では、こうした新しい時代にあって全国10万か所の公園がその持てる力を大いに発揮し、市民のための公園づくりがさらに進むことを応援しようと、日本のそして海外も含めた公園におけるベストプラクティスを紹介し、読者の参考にしていただこうという企画です。
 さて、連載第一回で紹介するのは、愛知県刈谷市にある『フローラルガーデンよさみ』です。
 その詳細をレポートする前に、筆者がなぜ、公園経営が重要だと考えたきっかけの話をしましょう。

2.日比谷公園100年記念事業で考えたこと
2003年のことです。日比谷公園が100年を迎えました。何とか祝いたいと考えたのですが、財政危機でお金がありません。東京都の公園予算は惨憺たる状況でした。なんとか祝いたい。しかし、予算がない。でも、何を祝うのか。このままでは、ますます公園がボロボロになってしまう。現状を打開したい。未来の公園を考えようと公園の使い方に着目しました。
それは何か。使いたいのに使わしてくれないなど、公園を静的な利用にとどめている現実がありました。そこで、財界人も入れた100年実行委員会を結成し、公園を活用する様々なイベントを民間の知恵と資金で実施することにしたのです。
その結果、行政では思いもつかない魅力的なイベントが次々に提案され、実行に移され、それはそれは、とてもエキサイティングな経験でした。この経験から、私たちは、新しい公園の価値を発見しました。公園が果たさなければならない役割を深く認識したのです。
ここから、東京都の公園政策は大きく転換しました。公園経営をより進めるためのパークマネジメントマスタープランを作成し、民間からの寄付を集める仕組みもできました。企業などが公園でイベントができるよう規制緩和し、さまざまなステークホルダーと協働して公園管理する方向に転換したのです。2004年のことです。
この時の経験が基礎になり、私自身は、今は、全国から呼ばれてパークマネジメントのアドバイスをしています。

3.社会の課題解決に公園は力を発揮できる場所。それも公園らしさを生かすことを考えたい。
公園には社会の課題を解決する力があると考えています。公園が発明されたのは産業革命期のイギリスです。それはその当時の社会の課題を解決するためでした。それが世界に広まり、日本も明治維新後に導入したわけです。
公園の役割は、レクリエーション、都市の骨格の形成、景観づくり、環境保全、コミュニティ形成の場、防災などの役割があり重要だということで日本全国各地に整備されてきました。いま全国には10万か所、12万fの都市公園があります。
しかし、これらの公園が今の時代に本当に使われているのか、社会のために役立っているのかなど疑問に思えることが、数々あります。
今日、日本の社会には様々な社会の課題があります。
こうしたことを、解決しなくては世の中はよくなりません。それも、公園らしい特性を生かして出来ることはたくさんあるような気がしています。例えば、公園に花があり、多くの人がそれを楽しむ中で、社会の課題も解決出来たら何と素晴らしいことではないでしょうか。

■フローラルガーデンよさみ

・依佐美送信所跡地利用の刈谷市立公園
・面積34,300u
・依佐美送信所記念館のほか、公園管理事務所や集会所機能をもつ建物フローラルプラザ内にカフェ、その周りにイングリッシュガーデンや親水施設があり世代を問わず利用されている。
・遊具やせせらぎ、多目的広場があり、休日にはミニSL(有料)も運行し、親子連れに人気
・2007年にオープン。2012年に指定管理者がコニックス鰍ノ変わりリニューアルオープン

4.フローラルガーデンよさみで驚いたこと
よさみについては、去年の9月に行くまで知りませんでした。訪ねてびっくりです。 何に驚いたかというと、
@ フローラルプラザという建物があり、そこ
を様々な形で生かしていること
Aイングリッシュガーデンの質が高いこと
B年間2万ポットもの草花の苗をボランティアと一緒に種から育てていること
C作っている苗の種類がプロ級だったこと
Dもともと整備されていたイングリッシュガーデンや園地、建物をリニューアルして価値を増していること
E公園を飛び出して地域の花壇づくりも指導していることなどです。
あまりに驚いたので、どうしてこんなことが出来ているのかを深く知りたいと思い、翌月に再訪しました。その時には、ガーデンボランティア『よさみジャルダンクラブ』の方々とも会え、生き生きと活動している姿を見て、またまた驚きました。ま、何と楽しそうにガーデンの草取りをしたり、おしゃべりをしていることかと。

この続き、あと4ページは、購入してのお楽しみです。

井の頭公園100年実行委を11年前に作ったわけ

連載第9回 小口健蔵のパークマネジメントのヒント 環境緑化新聞 2017年6月15日号 

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上空から見た井の頭公園
 
井の頭公園100年実行委を11年前に作ったわけ

5月1日、井の頭恩賜公園が100年を迎えた。行政と市民が協働する「100年実行委員会」へのメディアの注目が高く、私にも取材があった。なぜ11年も前に実行委員会を作ったのかというのだ。

事の発端はこうだ。2004年末に西部公園緑地事務所長に就任してすぐ、ライオンズクラブのメンバーがやってきた。「井の頭池の水をきれいにしたい」という。勉強会を開くことにした。調べてみると、湧水の復活が鍵だという。そこで、06年4月、共同で「水質浄化実行委員会」を発足させ、シンポジウム「よみがえれ!井の頭池」の開催にこぎつけ雨水浸透ますの普及をテーマに取り組んだ。

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よみがえれ!井の頭池シンポジウムポスター


そして、3か月後に実行委を「井の頭公園100年実行委員会」に衣替えした。

課題は池のことだけではなかった。花見シーズンは未明まで宴会が続き、喧嘩など乱暴狼藉がまかり通っていた。園内では許可を得ず露店や大道芸をする人もいて、苦情が来ていた。公園管理者として、攻防戦を何年も続けていたのだ。そこで、「100年」を掲げた実行委に、池の浄化にとどまらず、公園をめぐる幅広い課題に関わってもらうことにした。

露店と大道芸の問題はルールをつくり、「アートマーケッツ」の仕組みとした。占有許可を受けた実行委が出店者の募集、登録を行い、経費を徴収する。今では街のにぎわいづくりに一役買っている。

そう、100年実行委員会は、100周年をただ祝うためにつくったのではなく、公園を核に市民や行政が連携して課題解決にあたり、その結果として公園と街が素晴らしいものになったことを祝いたいと考えたのだ。

嬉しいのは、この仕掛けを皆が理解し、人が変わってもさらに発展する形で引き継いでくれたことだ。14年からは水質浄化や外来種駆除などのため、池の水を抜く「かいぼり」という新しい企画を考え、作業に計900人を超えるボランティアを動員するなど市民の関心と参加を増やし、それがさらに公園や街を良くしようと考える人々を動かし、100周年の様々な事業が民間主導で実施されるようになった。

「かいぼり」には少なからぬ費用が掛かる。市民の熱い思いが財政当局を動かし、事業推進がなった。草の根の公民連携でスタートした実行委も、いまでは、都や武蔵野、三鷹両市、地元のライオンズ、ロータリー両クラブ、商店会連合会など24団体で構成する大きな組織に育った。そして、公園が、まさに社会の課題を解決するための学校としての役割も果たしているといえよう。

100周年記念式典では実行委員長の青山やすし明治大学教授が、『井の頭恩賜公園のこの11年間の取り組みは全国の模範ともいえる取り組みになった。さらに市民と協働し磨きをかけたい』と挨拶した。

(公園プロデューサー 小口健蔵オフィス代表)

公園管理運営士会のQPA通信NO.49にコラム『稼ぐ公園とは?』を書きました。

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以下は、掲載した原稿です。
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稼ぐ公園とは?

小口健蔵 (公園プロデューサー 公園管理運営士会・関東支部長 小口健蔵オフィス代表)

一昨年の日本造園修景協会の造園夏期大学で「地域社会・経済に貢献する公園、稼ぐ公園の作り方」というテーマで話をしました。当時はまだ「稼ぐ公園」といっている人はいませんでした。依頼は、「公園における民間活力導入について」だったのですが、民間活力導入は何のためにするのかをクリアーに出したほうが伝わるだろうと考え、エッジの効いた言葉として「稼ぐ公園」をテーマに入れました。

「稼ぐ」の意味はただ単純にお金を稼ぐことだけではありません。社会経済に貢献すること、地域の不動産価値もあげることも含めています。

社会の課題を解決しなければ世の中はよくなりません。@人口減少を少なくする A交流人口を増やす B雇用の創出、産業の振興 C健康寿命を延ばし医療費を削減する D次代を担う子供たちの健全な育成 E格差社会・貧困との闘い F防災・減災 など課題には様々なものがあります。

公園が発明されたのは産業革命期のイギリスです。労働の再生産には、過酷な環境で働き手狭な家に暮らす労働者のための健康と気晴らしの場が必要でした。社会の課題を解決することは今でも同じです。列記した課題を公園の特性を生かして解決したいものです。

ニューヨークの五番街近くにブライアントパークがあります。麻薬取引の場にもなり見通しが悪く荒れきった公園だったのですが、住民が立ち上がり思い切ってデザインを変え、運営管理も市の直営から住民や企業主体の民間団体に移しました。周囲の企業などから運営費を負担させる仕組みも導入し、今ではニューヨークで一番おしゃれで賑わいのある公園になっています。

その結果何が起きたのでしょうか。

地価が上がったのです。当然、市の税収が増えます。公園が生まれ変わり地域を変えたのです。これも稼ぐ公園といっていいでしょう。

大阪市が取り組んでいるパークマネジメント事業も注目です。大阪城公園、天王寺公園で設置許可と指定管理を組み合わせて20年民間に任せるという思い切った施策を打ち出しました。もともとポテンシャルをもっている公園を規制緩和して運営方法を変えたり、リニューアルするなど、今年の4月末に成立した都市公園法の改正を先取りする取り組みがされました。

それまで、指定管理料など市の持ち出しが必要だったところに、市の払う指定管理料はゼロで逆に納付金が市の懐に入る仕組みとなっています。まさに「稼ぐ公園」です。

まあ、あまり難しいことを考えるのではなく、普通の取組でもいろいろのことができます。

このところ、公園にカフェやレストランを誘致する動きが加速しています。都立駒沢オリンピック公園にも新たにおしゃれなカフェ・レストランが出来ました。これをきっかけに、たくさんの人が公園に集う機会を作るでしょう。公園に行きたいなと思えることが増えれば、外出機会を多くし、歩く人を増やします。緑に囲まれたところでいきいき遊ぶ子供たちの姿を見るだけでも、心が晴れることがあるでしょう。それは体と心の健康に貢献します。

通常の公園は365日開園しています。大きな公園ならば職員は常駐しているでしょう。公園の維持管理費、人件費は固定費としてかかってきます。公園に入るのにはお金はかからないので売り上げはありません。しかし、「公園に来た人×その人が受けた公園での効用(価値)」をその公園の「売り上げ」と考えたらどうでしょうか。

この「売り上げ」を増やせば、増やすほどその公園は社会・経済に貢献する公園、つまり「稼ぐ公園」といえるのではないでしょうか。

河川法改正20年インスパイアプログラム「水辺の時代を開く」〜水意識社会の形成を目指して〜 が開催されます。


河川セミナー2.PNG

↓ 国土交通省プレス発表
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo04_hh_000049.html

平成29年5月19日

国土交通省は、平成9年の河川法改正から20年経過することを契機に、これからの時代を生きる私たちの生活と河川との新たな繋がりを構築するために、河川法改正20年インスパイアプログラム「水辺の時代を開く」を平成29年6月4日に開催します。

平成9年の河川法改正により、「河川環境の整備と保全」が法の目的として明記されてから、平成29年6月4日で20年を迎えます。

河川法改正から20年経過した今、河川をほとんど意識していなかった人々や民間事業者が河川の外から改めて河川の価値を見い出すなど新たな動きが始まりつつあります。

このような河川への関心の高まりや現在の社会情勢等を踏まえ、これからの時代を生きる私たちの生活と河川との新たな繋がりを構築することで、河川の有する多様な価値を日常的に享受し、人々の意識の深部に河川への畏敬と感謝の思いが浸透している社会「水意識社会」を形成するため、河川法改正20年インスパイアプログラム「水辺の時代を開く」を下記のとおり開催します。


               記

1.日時:平成29年6月4日(日) 15:00〜17:30(14:30開場)
2.場所:東京サンケイビル サンケイプラザ 4Fホール
     〒100-0004 東京都千代田区大手町1-7-2
3.プログラム:別紙参照
4. 定員:400 名(要事前申込、先着順)
     ※参加をご希望の方は、次のWebサイトよりお申し込みください。
      https://thinkriver.jp/
5.対象:河川管理者(国、都道府県等)および民間事業者やNPO 法人 等
6.参加費:無料
7.取材:傍聴・撮影ともに可(要事前申込、先着順)
   ※取材をご希望の報道関係者の方は、
   上記4.のWebサイトよりお申し込みください。

自治体が直営で管理する公園のホームページを予算ゼロで作る方法


環境新聞連載コラム(5月15日号)
小口健蔵のパークマネジメントのヒント

泉自然公園ホームページ.PNG
出典:泉自然公園ホームページ

自治体が直営で管理する公園のホームページを予算ゼロで作る方法

指定管理者制度が都市公園にも導入されて10年になる。現在全国10万カ所の都市公園のうち12%、1万2千か所に導入されている。12%というと少ないように思うが、面積でいうと全国約12万haのうちの43%、5.2万haになる。指定管理者制度のよいことの一つとして管理運営者になった民間事業者が柔軟な発想で広報やイベント企画などに取り組むことが増えてきたことがある。例えば公園のホームページは、広報や集客にいまや欠かせないツールとなっている。これはと思う公園のホームページをインターネットで検索すると、様々な工夫をしたページが出てくる。それらを比較して見ることで事業者の熱意や力量を知ることもできる。

こうして指定管理者制度を導入した公園は、競争の結果が反映されて、だんだん良いものになっていくが、直営公園はどうだろうか。

検索してみると分かるが直営で管理している公園にはちゃんとしたホームページがないところが多い。あっても自治体のホームページにコーナーがある程度で、更新頻度は少なく、情報量や魅力に欠け、公園に出かけようという気を起こさせるものになっていないものがほとんどだ。指定管理者制度導入10年で大きな差がついたといえる。これは由々しきことではないだろうか。

そんな中、千葉市が面白い取り組みを始めた。

直営で管理している泉自然公園でこの4月より民間事業者である(株)オリエンタルコンサルタンツの提案を取り入れ、駐車場収入等を原資にファミリー層をターゲットとしたホームページの作成や、公園の潜在的な魅力を生かしたイベントの実施等をするという。公園ホームページを地域の情報プラットホームとしても運用することで、泉自然公園を核とした周辺地域の魅力向上及び活性化にも取り組むという。

早速、今春、お花見が始まる前に新しいホームページが開設された。斬新なデザインでPCでもスマホでも見やすい工夫がされている。フェイスブックやインスタグラムとも連動させ、開花状況や駐車場の混み具合、イベント情報がリアルタイムで更新されている。ファミリー層を中心とする利用者はこうした機動性のある情報提供も求めているのだろう。

この取り組みの胆は、駐車場収入を原資にするところだ。魅力あるホームページや様々なイベントで入園者を増やし、駐車場利用者も増やすことでこれまで以上の収益を上げ、その果実を活用してソフト事業をし公園事務所をサポートしようというのだ。前契約が残っているのでまだ実現していないが提案の中には飲料等の自動販売機運営も組み込み、集客努力により自動販売機収入の向上につなげ、さらにその収益を公園のサインを改善したりする魅力向上策に活用するともいう。民間事業者の努力が収益面でのメリットも生むようインセンティブ提供の知恵も大切である。

(公園プロデューサー 小口健蔵オフィス代表)

泉自然公園ホームページ↓
http://izumi-park.city.chiba.jp/

彩の国さいたま人づくり連合主催のセミナー 多様な「場」づくりからまちの活性化を考える〜包括的な地域経営と公共空間利活用〜 が開催されます。


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詳しくは埼玉県ホームページより↓
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2017/0428-21.html

セミナーは午前9時45分〜12時までで、午後13時〜16時45分は産民学官・政策課題共同研究の第一回研究会が開催されます。研究会冒頭に小口が「パークマネジメントの未来 あなたの街の公園をもっと世の中のためになる公園に変えよう!」をテーマにお話しします。研究会はだれでも見学ができるようです。

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彩の国さいたま人づくり広域連合では、県・市町村・企業・NPO及び大学等の協働による「産民学官・政策課題共同研究」を行っています。今年度は「持続可能な郊外住環境実現プロジェクト 〜空き家、高齢者、働き方から考える〜」と「公共空間の利活用による地域活性化プロジェクト 〜公民連携で多様な『場』を作るには〜」をテーマに研究を行います。

研究のスタートにあたり、2つのテーマに関するセミナーを開催します。どなたでも参加できますので、是非お気軽にお越しください。参加費無料です。

1 日時
 平成29年5月18日(木曜日) 9時45分〜12時00分
2 会場
 埼玉県県民健康センター2階 大ホール(さいたま市浦和区仲町3-5-1)
3 内容

基調講演
「パブリックスペースの利活用の戦術と政策 -まちの価値を高めるプレイス・マネジメント-」
 泉山 塁威 氏(東京大学先端科学技術研究センター助教)
研究コーディネーターによる講演
「持続可能な郊外住環境の実現のために」
 藤村 龍至 氏(東京藝術大学美術学部建築科准教授、RFA主宰)
「公共空間利活用による地域活性化のために」
 内田 奈芳美 氏(埼玉大学人文社会学研究科准教授)
4 定員
 150名(先着)
5 申込方法・申込期限
(1)申込方法 
下記URLのチラシ又は応募用紙によりメール又はファックスでお申し込みください。
【お申し込み先】
 メール:jinzai03@hitozukuri.or.jp / ファックス:048-664-6667
【チラシ】
 http://www.hitozukuri.or.jp/jinzai/seisaku/29openingseminar.pdf
【応募用紙】
 http://www.hitozukuri.or.jp/jinzai/seisaku/29openingmousikomi.doc
(2)申込期限
 平成29年5月15日(月曜日)
【参考1】講演者プロフィール
・泉山 塁威 氏(東京大学先端科学技術研究センター 助教)
【略歴】1984年生まれ、埼玉県本庄市育ち。2015年、明治大学大学院博士後期課程修了、博士(工学)。2016年、明治大学理工学部建築学科助教、2017年より東京大学助教。専門は都市経営・エリアマネジメント、公共空間マネジメント。
・藤村 龍至 氏(東京藝術大学美術学部建築科 准教授、RFA主宰)
【略歴】1976年東京生まれ。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年より藤村龍至建築設計事務所(現RFA)主宰。2010年より東洋大学専任講師。2016年より東京藝術大学准教授。
・内田 奈芳美 氏(埼玉大学人文社会学研究科 准教授)
【略歴】2004年ワシントン大学修士課程修了、2006年早稲田大学大学院博士課程修了。博士(工学)。専門は、都市計画・まちづくり。金沢工業大学環境・建築学部講師などを経て、現職。

【参考2】産民学官・政策課題共同研究について
1 研究の概要
県・市町村・企業・NPO及び大学等の協働による「政策研究」です。様々な主体が集まり、埼玉の未来を共に考えていきます。産民学官それぞれの主体が持つ人材や情報、ノウハウ等を活用、組み合わせ、地域課題の解決に真に役立つ政策提言を行い、多様な主体の連携による新たな取組や行政の政策立案等を支援します。また、研究を通して、企画力や課題解決力等に優れた人材の育成を目指します。

2 今年度のテーマ
(1)持続可能な郊外住環境実現プロジェクト 〜空き家、高齢者、働き方から考える〜
埼玉県は高齢化が急速に進展しています。特に高度経済成長期に次々に作られた郊外のニュータウンは、その課題が先端的、先鋭的に現れています。ニュータウンで生じている高齢化や少子化、コミュニティの衰退等といった課題は、近い将来どこでも起こりえます。ニュータウンの課題を解くことができなければ、他の場所の課題も解けません。

そこで、ニュータウンをいかに持続可能な「まち」にしていくかを研究対象とし、有効な解決策や事業化への道筋を調査と実践を通じてモデルとして作り上げ、埼玉の少子高齢社会への対応を支援します。

平成27年度に「空き家問題」を研究した中で、郊外ニュータウンでの空き家の大量発生の可能性、また、福祉を含めた地域経営の重要性が分かったことから、平成28年度は都市政策、福祉政策、コミュニティ政策を連携と地域経営について研究を行いました。この研究では、持続可能な地域を目指すために地域経営の成長を4段階に分類し、それぞれの段階に応じた解決策を提言しました。

平成29年度は、過去2年間の研究の継続的取組とし、次のステップとして産業労働施策との連携も加え、1)社会的問題を解決するための起業の推進、2)高齢者、女性の活躍促進、3)モビリティ(交通、移動手段)等の視点から、郊外ニュータウン問題を引き続き研究します。平成28年度に研究対象としたニュータウンが所在する自治体の中には、実際に課題解決に向けた取組を始めているところがあります。こうした自治体と連携し、より実践的な研究を行っていきます。

(2)公共空間の利活用による地域活性化プロジェクト 〜公民連携で多様な「場」を作るには〜
これまで、道路や河川、公園、公共施設などといった「公共空間」は、行政が整備、管理、運営することで「まち」に活動空間を提供してきました。しかし、財政逼迫や人口減少を背景に、行政による公共空間への投資が縮小していく中では、これらの公共空間を戦略的に民間に開放し、公と民が連携して魅力ある空間を創出していくことが重要です。

また今日では、民有地の公共的利用や、公共空間を時間帯や季節によって多様な用途で暫定的に利活用するなど、公共空間のあり方自体が大きく変化しつつあります。

これらのことから、新たな発想による公共空間の多様な利活用の方法を、例えば「コミュニティとしての場づくり」、「社会的活動としての場づくり」、「地域活性化のための場づくり」、「公共空間としての場づくり」として考えていく必要があります。

また、公共空間の開放に当たっては、「『公共』とは何か」ということも問われるため、公共性をいかに担保するか、という点も考えなければなりません。

こうした公共空間の利活用に当たっては、安全管理上の問題や占用利用上の法的規制など多くのハードルがありますが、最近の都市再生や規制緩和の流れの中で、道路空間などを活用したオープンカフェなどによる賑わい創出の事例が増えてきています。

しかし、本県ではこうした先進的な試みが少ないと思われます。

そこで、本県における積極的な、地域のための公共空間利活用の展開を促すため、公共空間の利活用のあり方を検討し、実際に社会実験を行いながら検証していきます。


公園経営ニュース(2017年4月28日)

■中国がチベット高原に世界最大規模の国立公園設置を検討、資源の戦略的備蓄が目的か―香港紙 ■ディズニーワールドで配られる「マジックバンド」に隠された、ちょっと不気味なテクノロジー ■大規模公園が来年夏にオープン ドミノシュガー工場跡地の再開発 ■東村山市が包括施設管理委託、2018年4月スタートを目指し事業者に意見募集 ■広島市 - 【公募型プロポーザル】比治山公園における官民連携による整備や管理・運営手法の調査・検討業務






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ペンステモン ハスカーレッド オオバコ科

芝生広場の効用はもっと見直されるべきではないか

環境緑化新聞の2017年4月15日号に掲載した連載コラム「小口健蔵のパークマネジメントのヒント」です。

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出典:パークマネジメントマスタープラン 東京都 平成16年

芝生広場の効用はもっと見直されるべきではないか

最近の都心部での公園リニューアルを見ると、カフェと芝生広場がポイントのように思う。写真は2003年に開催した日比谷公園100年記念事業で、日比谷公園の沈床花壇の芝生をピクニック広場に開放した時の様子である。

欧米の都市に行くと、街路や公園のオープンカフェで大勢の人がくつろいでいるのをよく見かけた。公共空間のあり方として日本でももっと取り入れても良いテーマであると日頃から感じていたことから、記念事業のメニューに「夢のオープンカフェ」を企画し、事業者を募集した。事業期間が限られる中、コーヒー、カレー、串焼き、クレープなどの5店舗が出店を決め、普段は立ち入りが禁止されている芝生広場でピクニックランチが楽しめるよう、バスケットと洒落たギンガムチェックのレジャーシートをイケメンの男子従業員が無料で貸し出すというサービスつきのオープンカフェが出現した。この企画は、オフィス街のOLやサラリーマンに好評で、天気のいい日は、芝生広場が楽しそうな笑顔で埋まるピクニック広場になった。

昨年リニューアルした東京・豊島区の南池袋公園の中心にある芝生広場は、休日ともなると多くの人で賑わっている。リニューアル前の公園の状況を考えたら公園利用の頻度は雲泥の差である。

人はきれいに刈られた芝生の緑、座りごこちと感触に魅せられている。こうしたことを目にすると、日本の多くの公園がここ十数年、こうした公園サービスの提供を怠ってきたことを反省しなければならないのではないかと思う。私が仕事をしていた都立公園では、平成の世になってから都財政の危機で様々な経費が切り詰められ、公園も例外ではなかった。維持管理経費は毎年マイナス10%づつ削られ、最後には58%にまで減らされた。芝生などの緑地管理に掛かる経費も減らさざるを得なかった。何をしたかというと芝生の除草をやめ、刈るだけとなり、刈る回数も減らした。その結果、芝生地は雑草交じりの草地になり、一部を除いて都立公園からは芝生地は消滅したといってよい状況になった。それが、今日、夏になると子供の背丈の高さまでに茂った草地広場の出現である。草が生えているのはまだいいほうだ。茂りすぎた高木が光を遮り、下草さえも生えない裸地がそこそこにあるというのが多くの公園の現状ではないだろうか。

ここに反転攻勢をかける必要がある。

嬉しいニュースもある。京都駅に近い梅小路公園では、芝生広場オールシーズングリーン化事業を進めている。冬枯れの芝生にオーバーシーディングすることで冬でも瑞々しい緑の芝生に覆われ,多くの人が楽しめるのだ。費用は、京都・梅小路まちづくり推進協議会(西日本旅客鉄道(株)や京都水族館など、周辺の企業・団体40社)が出したという。芝生の効用にいち早く着目した取り組みであり、資金を民間で賄うというのがまたグッドだ。公園はあるだけではだめなのだ。人々が求める質の確保が急がれる。

(公園プロデューサー 小口健蔵オフィス代表)