公園清掃で必要なこと

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ある高齢者就労事業団の協議会から「公園で働く意義について」話をしてほしいとの依頼がありました。協議会は公園の清掃業務を受託している団体で構成しているといいます。

なぜ、私にと声をかけていただいたのか聞いたところ、2002年に出版された「いま、公園で何が起きているのか−変わりゆく公園と地域における新しい役割−」(ぎょうせい)を読んで、私のことを知ったといいます。

これは、伊藤章雄氏(当時・東京都公園協会常務理事 故人)が企画・編集した本で、都政新報に都立公園でどのような動きがあるのか、そこで働いている人たちは何をストラッグルしているのかを連載したものをまとめたものです。私も東京都東部公園緑地事務所工事課長だったのですが、伊藤さんにぜひホームレス問題について書かせてほしいとお願いし執筆者の一人に入れていただきました。

伊藤章雄さんは、東京都公園協会常務理事になる前は、公園の仕事を経験したことはなかったのですが、東京都入庁後、杉並区役所、東京都人事委員会、建設局、企画審議室、総務局等を歴任し、この間、行政管理、採用・昇任試験、研修、用地買収、災害対策(危機管理)、知事発言、政策調整、議会対策、人事政策などに従事された方です。様々な仕事をしたことと、知事発言のスピーチライターもされていたことから、ものごとを的確にとらえることと説得力ある文章を書ける方でした。私のことも気にかけてくださり文章指南もいただきました。

当時上野公園や代々木公園のホームレスの問題に、直面し、この解決は公園の中だけではできない、広く社会にホームレス問題を解決するよう働きかける必要があると考え、またそうした施策を国レベルでももっと取るべきだと考え、原稿を書いた思い出があります。
今公園で何が起きているのか.PNG
「いま、公園で何が起きているのか−変わりゆく公園と地域における新しい役割−」とても良い本だと思います。

アマゾンで中古本が買えます。


公園の清掃は、大事な仕事です。その仕事に従事している皆さんに話ができると聞いて、喜んでお受けしますと回答しました。

講演資料を作成中なのですが、改めて公園の清掃について考える機会をいただきました。

それが、冒頭のパワーポイントです。

清掃は、公園内を隅々まで歩き、ごみを片付け、園地や園路を整え、来園者が気持ちよく公園ですごす雰囲気をつくる大切な仕事です。大事なことは、作業者が園内を隅々まで歩いて、毎日の状況を把握していることです。利用者の動向も、清掃時間中に把握したり、ごみの散乱状況や汚れ具合などの痕跡からも状況を認識できることです。

しかし、清掃は委託で発注され、多くの現場では効率性が求められ、園路清掃やトイレ清掃そのものに一所懸命にならざるをえず、周囲の状況の把握や安全確認などする余裕はないのが現実かもしれません。

ここに工夫の余地があると思います。

清掃員をただ清掃する人と考えるのではなく、清掃は中心の仕事ですが、安全を確認したり、利用動向を把握したり、公園レインジャーの役目も持っているという考えに立つのはどうでしょうか。そんなに難しいことをしろといっているのではありません。公園管理事務所でデスクワークする人が、清掃担当から話を聞くだけでいいのです。

そのほうが働く人もやりがいを持ち、さらに良い仕事をしてくれるように思います。

すでに、やっているという公園もあるかもしれません。しかし、圧倒的な数では、発注担当者自身が清掃に関心を持たないまま、前年度通りの仕様で機械的に清掃作業の委託発注をしているのではないでしょうか。そして、仕事の結果をチェックすることも余りないままでやっていませんか?

世の中は、どんどん変わっています。工夫の余地大いにありそうです。

81歳創業者はなぜトイレを素手で磨くのか?

81歳創業者はなぜトイレを素手で磨くのか? 
東洋経済オンライン 2014年12月9日

 日本のトイレはもはや排泄するだけの場所ではない。日本人の「清潔好き」と「技術力の高さ」が相互にトイレ環境を磨き上げ、独自の発展を遂げ、かつてない高みに到達している。この特集では、日本のトイレ文化が世界にもたらす未来について、5日連続で紹介していく。2日目は、イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんにトイレ掃除の効用と世界のトイレ事情を伺う。
 1日目「日本のトイレは排泄するだけの場所じゃない! 」はこちら。■ 社内のトイレ掃除をたった独りで始めたワケ

 ──イエローハットを創業された昭和36(1961)年、28歳のときに社内のトイレ掃除を独りで始められたと聞きました。以来、トイレ掃除の活動を53年間も継続されています。きっかけは何だったのですか。

 鍵山:いろいろな理由がありますが、大きな理由としては、ちょうど高度成長期に差しかかった頃で、社員の心が荒れていたんですね。カネを稼げばいい、今さえよければいい、自分だけよければいい、という風潮に世の中全体が急速に変わってきた。

 創業間もない会社だったため、採用面接に応募してくるのは、履歴書に書き切れないぐらいたくさんの会社を渡り歩いてきた方が多く、心がすさみきっていたというのもあります。

 こうした社員の心を穏やかにするためには、まず職場環境をきれいにすることが大事だと思いました。汚い環境の中で、彼らに「ちゃんとしろ」と言ったってできるわけがない。まず私が環境をきれいにしてから、伝えるべきことを伝えていこう、と。その第1番がトイレ掃除であり、社屋の掃除でした。社屋といってもバラックでしたけども(笑)。

 まず社内を掃除して、やがて近隣周辺、取引先のお店の周囲やトイレ掃除をさせていただくようになりました。本当は社員にもやってもらいたかったけれど、誰もやりたがらないでしょうから独りで始めました。

 ──命令はしなかったのですね。

 鍵山:命令したってやるもんじゃないですよ。また命令されてやることは、絶対に本物にならない。規則で決めたり、当番制にしたりしてもダメ。心からそうしようと思わないと身に付きません。

 ──社員の方々の反応は? 

 「掃除なんかしても無駄だ」「うちの社長は掃除しかできない」と陰で批判する者もいましたし、私がトイレ掃除をしている横で用を足していく者もいました。最初の10年間は私独りで掃除をしていて、手伝おうという社員は1人もいませんでした。

 ──よく続けられましたね。

 鍵山:哲学者のショーペン・ハウエルがこう言っています。物事が成功するまでには3段階ある。第1段階は「嘲笑される」。なんだ、トイレ掃除なんかして、と。これが始まり。第2段階は「反対される」。誰もやれと言っていないのに抵抗するのです。その段階でバカバカしくなり、やめてしまう。こんなことやったってしょうがないという気持ちになる。

 でも、そこを乗り越えると、第3段階は、笑いものにしたり、反対したりしていた人がいつの間にか「同調する」。そんなこと、とっくにわかっているよ、と。そうして初めて物事は成功するとショーペン・ハウエルは言っています。

 ──社員の方々がトイレ掃除をするようになったのですか。

 鍵山:はい。10年を過ぎた頃から、社員が1人、2人と手伝うようになりました。ただし、今日やったと思ったら明日はもうやらないという感じで波はあります。

 それがだんだんと浸透していって、20年を過ぎた頃には、大方の社員が掃除をやるようになった。社内だけでなく、近所の道路など広い範囲で掃除するようになりました。

■ トイレ掃除をして傲慢になった人はいない

 ──掃除が社内に根付いていって、ビジネスの面で何か効果はありましたか。

 鍵山:お客様からの信頼が絶大になりました。よその会社の社員とは全然違うというふうに、お客様が見るようになった。たとえば、うちが商品をお客様に納める際に、普通は商品と伝票に記載された数が合っているかをお客様がチェックするのですが、うちはノーチェックです。うちの社員はごまかしたりしないという信頼があるからです。

 みんなが掃除をやるようになってからは、外部の会社から「掃除の仕方を教えてほしい」と依頼が来るようになりました。最初は中小零細企業が多かったのですが、だんだん1部上場会社の社長が幹部社員を連れて来るようになった。

 ──社員教育として掃除を導入しようと? 

 鍵山:そうです。もう何をやってもうまくいかなくて、人づてに掃除がいいそうだと聞いて、半信半疑でやってくる。ある会社の社長は、会社をよくするためにいろいろな研修に行っては、次々と会社に導入したけれども、どれも成功しなかった。

 でも、その掃除を始めたら成功した。この掃除活動は、自分の意志でやり始めると、がぜん、心が変わるんですね。

 ──どういうふうに変わるのですか。

 鍵山:掃除の効用は大きく5つあります。ひとつ目は「謙虚な人になれる」。私はこれまで何万人も掃除をする人を見てきましたが、掃除をやっていたら傲慢になったなんて人はひとりもいません。例外なく謙虚になります。謙虚になると、自分が接している周囲の人たちの対応が変わってきます。

 2つ目は「気づく人になれる」。ぱっと見て、この便器はきれいだなと思っても、いざ便器に取り組んでみると、ここも汚れている、あそこも汚れていると、いろいろな汚れに気づきます。すると、今までは床にゴミが落ちていても平気だったのが、気になるようになってくる。これまでは見えなかった細部がよく見えるようになります。

 3つ目は「感動の心を育む」。自分でトイレ掃除をすると、きれいになったなあと実感します。この実感が感動なのです。よくコンサートに行ったり、お坊さんの話を聞いたりして「感動した」と言いますが、あれは感動しているのではなく、興奮しているだけです。感動と興奮は違う。興奮はすぐ冷めます。お坊さんの話を聞いた帰り道で、もう人を押しのけている。そういうのを感動とは言いません。

 ──トイレ掃除の感動は持続するのでしょうか。

 鍵山:感動しやすくなって、些細なことにもありがたいと思うようになるのです。たとえば、人がエレベーターのドアを開けて待ってくれていたといったことにも、ありがたいと感じるようになる。

 4つ目は「感謝の心が芽生える」。感動と感謝は一緒です。感動しない人は感謝しません。

 5つ目は「心を磨く」。心を外に出して磨くことができればいいですが、できないでしょう。だったら磨けるものを磨く。間接的に自分の心を磨くことになります。トイレというのは1日に何回も見るものですから、それがきれいだと、見ている自分の心もきれいになっていきます。つまり、いつもゴミだらけの汚い環境にいる人は、心の中も同じ状態ということです。

 ──耳が痛いです。

■ 掃除活動が日本中、世界中に広がる

 鍵山:だんだん「掃除の仕方を教えてほしい」という依頼が企業や学校からも来るようになり、私がトイレ掃除を始めて30年経った頃に、NPO法人「日本を美しくする会/掃除に学ぶ会」が立ち上がりました。

 掃除活動は全国各地に広まり、現在、47都道府県123カ所に設立されています。海外ではブラジル、中国、米国(ニューヨーク)、台湾。正式に登録していない活動も含めると、もっとたくさんあります。ルーマニア、イタリアでも実施しています。

 ──鍵山さんが現地に行ってトイレ掃除の仕方を教えるのですか。

 鍵山:はい。私は素手、素足でやりますが、みなさんに強制はしません。気持ちが悪いと思う人は手袋をしてもらって、はき物も履いてもらいます。
東洋経済オンライン 12月9日(火)6時0分配信

 ──なぜ素手、素足で? 

 鍵山:ものを持ったとき、触ったときの感触が、素手と手袋とでは全然違うからです。素手が最も感じやすく、髪の毛一本まで感じることができる。敏感な指先で感じるからこそ、問題に対処できて早く解決できるのです。

■ 最初のハードルを越えられるか

 ──日本や世界各国の知らない人たちが使ったトイレを、素手、素足で掃除するのは、普通は抵抗があると思います。なぜ鍵山さんは平気なのですか。

 鍵山:スポーツでも一度越えたハードルは、次に飛ぶときは簡単ですよね。最初のハードルを越えられるかどうかです。越えられない人は飛べない。飛んでみもしないで、飛べないだろうなあと眺めている。

 ──できれば眺めていたいです(笑)。

 鍵山:とてつもなく汚いトイレがありますよ。中国のトイレはすさまじい。来年、また行きますけどね。

 ──中国のトイレ掃除に行ったきっかけは? 

 鍵山:広島の「掃除に学ぶ会」の方がYMCAの沖縄の校長と親しくて、そのYMCAの校長が中国の科技大学の先生と懇意だったのです。平成9(1997)年に科技大学のトイレと上海の公園を掃除しに、日本から40人ぐらいで行きました。

 ──そういうときの旅費はどうされるのですか。

 鍵山:飛行機代も宿泊代も自腹ですよ。

 ──自腹でわざわざすさまじいトイレの掃除に行く? 

 鍵山:基本的に中国人は自己中心的で、人のことはどうでもいい、自分さえよければいい、という考え方の人が多い。だから水洗トイレでも、用を足した人が、なんで次の人のために水を流さなきゃいけないんだって出て行ってしまう。次に入った人は、なんで俺が、前のヤツがしたものを始末しなきゃいけないんだって、たまったものの上に用を足して出て行ってしまう。だから半端な汚れ方ではありません。

 ──ハードルが高い。

 鍵山:しかし、一緒に行った「掃除に学ぶ会」の人たちや科技大学の学生たちが群れになって後ろから私を見ています。もうやるしかありません。山盛りの糞尿を素手で便器に押し込み、流しました。

 ──うーん。そういった活動が中国の方によい影響を与えているのでしょうか。

 鍵山:毎年、チームで行っていますが、大学構内のゴミが減って、だんだんきれいになっていますよ。

■ ブラジルでは“最下層の仕事”

 ──ブラジルはどのような感じですか。

 鍵山:初めて海外で掃除したのがブラジルで、発端は阪神淡路大震災でした。1995年1月に起きて、私は3月に避難所の学校に掃除に行ったのですが、そこにブラジルからボランティアの方が3人来ていたのです。私たちがトイレ掃除をしていたら、「どういう団体ですか」と聞かれて、説明すると「ぜひブラジルにも来てください」と。翌年2月にブラジルのイベラ・プエーラ公園のトイレ掃除に行きました。

 ──汚いのかきれいなのか、想像もつきません。

 鍵山:ブラジルは救済事業として、仕事に就けない人たちにわずかな賃金でトイレ掃除をさせていますから、そんなにひどくはありません。ですが、そういう人たちのやる掃除は知れていますよ。私たちがトイレの外せるものは全部外して、隅々まで徹底的にきれいにすると、見ている人はビックリしています。

 ブラジルも10年以上、行きました。5年目には現地の人が5000人も集まる会に発展し、みんなで道路の掃除をしました。テレビの取材も来ましたよ。ブラジルは長年、奴隷制度がしかれていて、掃除はもともと奴隷がやる仕事なのです。特にトイレ掃除は最下層の人がやるという位置づけで、一般の人はしない。

 ──それなのに、日本の会社の社長が地球の裏側からやってきてトイレ掃除をしている。それはニュースになりますね。

 鍵山:大勢で掃除している様子を見れば、人は何だろうって思います。私たちが掃除している横で車が止まり、「何をやっているんですか。来年もやるんですか。私も参加していいですか」とブラジルの人に随分聞かれました。

 ──続けているうちに、周りの人が「嘲笑」から「同調」へ変わるのは日本と同じなのですね。

 鍵山:そうです。

 ──ニューヨークはどのような感じですか。

 鍵山:第1回 「ニューヨーク掃除に学ぶ会」は平成15(2003)年に開催されて、ブルックリンにあるジャッキー・ロビンソン・ユースセンターというスポーツ施設に行きました。施設の方にまず「絶対に素手・素足でやらないでください。ゴミ箱のフタは絶対に開けないように。中に何が入っているかわからない」と注意されました。注射針やエイズ患者が使ったものなど何があるか保証できないから、触れないでというわけです。

 手袋をしてトイレ掃除しながら、ニューヨークの一端を見た思いがしました。

 ──台湾は? 

 鍵山:第1回「台湾掃除に学ぶ会」も平成15(2003)年に開催され、台北市の小中学校に毎年、もう10年以上、行っています。昨年は2回行って、今年は4月に行ってきました。台湾でイエローハットの店舗を展開したのが始まりです。やはり毎回、メディアが来てニュースが報じられます。

■ 自分のエネルギーを掃除に向けた先にあるもの

 ──鍵山さんの掃除活動のゴールは何ですか。世界中を美しくして、人々の心がきれいになることでしょうか。

 鍵山:世の中は争いごとに満ちています。戦争だってもとは人の不満から始まり、それが増幅していって起こるのですから、ものすごいエネルギーです。もし、戦争に向けるエネルギーを掃除のほうに向けたらすばらしいでしょう? ?

 自分のエネルギーの向け方が重要なのです。争いや武器に向けるのか、掃除に向けるのか。掃除に向ければ、地球がきれいになり、心も平和になります。

 昨今、自分の利益になることしかしないといった風潮が見られます。しかし、そういう人間の人生がよくなったためしはありません。もっと社会や国家に目を向けて、少しでも自分の時間や手足を使わないと、世の中はよくならない。

 私から見ると、今の日本人は寿命を延ばし、長生きすることには一生懸命ですが、そんなことは自分が決めることじゃないですよ。いくら90歳まで生きようとしたって、若くして亡くなる人もいます。

 そんな自分で決められないことを一生懸命やるより、自分が決められることに一生懸命取り組めばいいのにと思います。どう生きるかは自分で決められます。

 ──鍵山さんは現在、81歳にして世界中を飛び回ってトイレ掃除をされています。結果的に、健康にもいいのかもしれませんね。

 鍵山:いいでしょうね。朝、公園の掃除をしているときに、マラソンをしている人が通っていきます。はぁ、はぁ、と息を切らして熱心ですが、それは自分のことだけに熱心とも言えます。熱心な人であっても、立派な人とは言えない。もしその人が、マラソンもするけど落ちているゴミも拾ったら、立派な人になるのです。

上田 真緒
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